小国郷の滝めぐり
小国郷は阿蘇山の北外輪山に続く草原地帯から、特に西側は涌蓋山、くじゅう連山につながる山深い町です。
この地域は、約27万~9万年前の阿蘇のカルデラを作った数回にわたる巨大噴火による火砕流堆積物から形成された土地ですので、
独特の地形が随所にみられます。
そんな小国郷には滝はたくさんあるのですが、おススメの滝をご案内します。
(このあとすぐの鍋ヶ滝)
鍋ヶ滝(小国町黒渕)
小国郷で一番有名な滝、以前お茶のCMにも登場し、観光客が多く訪れます。よくパワースポットとしても紹介されています。
落差は約10m、幅20mという小ぶりな滝ですが、滝の流れは水のカーテンのように美しく、
木漏れ日に照らされるときは、自然のやさしさを感じます。
鍋ヶ滝は、阿蘇の噴火よる火砕流が川を埋めることで形成されたと考えられています。
長年の浸食作用により現在の形に至っていますが、今でも浸食により、少しずつ形が変わっているのだそうです。
鍋ヶ滝の1番のポイントは、滝の裏側にまわることができる「裏見の滝」なのです。
カーテンの端から向こうまでまわることができます。裏側はかなりえぐれており、スペースがあります。
裏から見た滝、そしてカーテン越しの自然は、不思議な感覚を与えてくれます。
訪れるときはやはり晴れた日の方がいいと思いますが、季節はいつでも。
春ならば新緑、夏は青々とした緑と清涼感、秋は紅葉、冬はつららに霜や雪、そして年中マイナスイオンで溢れています。
(裏見の鍋ヶ滝、芸術的な光景)
場所は、小国町から国道387号線を走っていくと、道路角に 鉾納社 という大きな木々が茂る古く趣のある神社、
そして古民家を改造した 坂本善三美術館 があり、その道を入っていきます。
その後細い道を進みますが、案内はその都度出てきますので、迷うことはないと思います。
毎年春にライトアップされる時期がありますので、是非日程をお調べの上お越しください。入場料200円です。
下城滝・鍋釜滝・霧通滝(小国町下城)
これら3つの滝は、国道212号沿いにあり、車窓からでも少し見えます。
杖立温泉と小国町中心地の間、国道を走っていると下城の大イチョウ、下城滝の案内が出ています。
滝のまわりには遊歩道もあり、いろいろな角度から滝を見ることができます。
下城滝が一番大きく落差約40mの勢いがある滝で、その上流に鍋釜滝と霧通滝があります。
鍋釜(なべかま)滝は、落差約20m幅30mほどの、流れが美しい滝です。
鍋釜滝の直前の岩盤に立ち入ることができ、滝を間近に見ることができます。
そのあとに続く霧通(きりどおし)滝は、
下城滝が落ちる直前にある落差約38mの段々になってる滝です。
(一番上流の鍋釜滝、落ちそうなところから撮影)
(左:霧通滝から右:下城滝へ)
滝のすぐ近くには、パワースポットとなっている樹齢1000年以上の「下城の大イチョウ」があります。
本当に大きいみごとなイチョウで、秋口にライトアップされる時期があります。
お越しになった際は、滝とセットでまわってください。
夫婦滝(南小国町満願寺)
夫婦滝は小国町から黒川温泉、阿蘇に向かう国道422号線沿いにあります。
大きな看板がありますので、わかりやすいです。
2つの滝が左右にあるのですが、田の原川(左:男滝)と小田川(右:女滝)という2つの川が合流する直前にそれぞれの滝があるという、
日本でここだけの珍しい場所なのです。
2つの川の源流は、ともに阿蘇北外輪山(結構すぐそこ)です。
田の原川は黒川温泉を通り、小田川は小田温泉などを通って夫婦滝のポイントにやってきます。
合流後は田の原川としてしばらく流れ、日田天領水で有名な大分県日田市を三隈川として流れ、
下流では筑後川と名を変えて福岡県南部の筑紫平野を通リぬけ、
最後は佐賀県の有明海へと流れ出ていきます。とても雄大な物語のようです。
(夫婦滝)
2つの滝の落差は男滝15m、女滝12mと大きい滝ではないものの、バランスよく並んでいて、
どちらも水量が多いので想像以上に迫力があります。
どちらかというと、右の女滝の方が勢いがあるようですね。
すぐ上に交通量がそこそこある国道という立地ですが、その場はまったく別空間、
滝の音と勢いよく石の間を流れる水、茂った木々、マイナスイオンが迎えてくれます。
夫婦滝は、一応縁結びの滝として宣伝されていて、滝へ降りていく階段の手すりなどに絵馬などがたくさんぶら下がっています。
縁結びが関係ある方もない方も、2つ滝が合流する珍しい場所ですので、是非お立ち寄りください。
こちらもパワースポットと紹介されることがあります。
犬滝(小国町宮原)
犬滝、いんだき といいます。
小国町を流れる杖立川、町のすぐそこにある落差5mというかわいい滝です。
小国町の観光案内にもほぼ出てこず、現場に看板も出ていない無名といってもよい滝です。
ヤマト運輸小国センターの先、畑の間の細い小道を入り、川に降りることができます。
その場に行くと気持ちがよい場所で、夏場は子供たちの水遊びの場ともなります。
阿蘇大噴火の火砕流堆積物が浸食してできた岩盤が土台となっており、
ポットホール、甌穴(おうけつ)という自然にできた穴をたくさん見ることができます。
(犬滝と甌穴)
そのほかの滝
まだまだ滝はありますが、あと2つだけご案内します。
- かっぱ滝・倉本滝(小国町下城)
先述の下城滝を涌蓋山の方に向かうと、遊水峡 というキャンプ場があります。。
幅30mもある広いなだらかな岩盤が1Kmほど続き、筑後川源流の宇土谷川が流れています。
春~秋まで水遊びができるほか、まわりの景色は四季を通じてとても美しいところです。
そこには、かっぱ滝、倉本滝といった滝が見られます。かっぱ滝は落差15mの直瀑型、
倉本滝は落差6mの段々に落ちる繊細な滝です。
そのほか、阿蘇の溶岩が、川の浸食で整った模様のようになっている様子も見ることができます。
シーズン中は有料ですが、見どころもあり、遊び場もあり、整備もされていて安心ないいところです。
詳しくは遊水峡のホームページ「http://yusuikyo.jp/」をご覧ください。
- 秘境七滝(南小国町満願寺)
先述の夫婦滝の上流、小田川にある滝です。
駐車場があり、前の小道を行くと、原生林に囲まれた巨岩、そして大小7つの滝を見ることができます。
駐車場は2か所あり、第2駐車場からは、少し階段を下れば、滝をすぐに見ることができます。
(秘境七滝)